些細な混乱

 あなたが「バイク」という言葉からイメージすることはなんだろうか。
私ならオートバイやモーターサイクルであるが、最近は自転車を意味することも多いらしい。
オートバイ関連の書籍を探しに本屋に行った際、バイクというタイトルの本を手にしてみたら自転車の本だったという確率がだんだん高くなってきた。
巷では自転車ブームなのだろうか。
確かにオートバイもバイシクルも「バイク」であると思うが、自転車の名称をあえてバイクと称する必要はあるのか疑問である。自転車乗りからすれば当然のことかもしれないが、バイク乗り(オートバイのほうね)からすれば戸惑ってしまうのである。しかもこの名称はここ何年かで普及しつつあるように思われる。
 なぜ自転車をあえてバイクと呼ぶようになったのか。
一つに、自転車を指すカッコイイ呼び方がなかったからではないかと考えられる。特にカタカナで呼ぶとすれば自然とバイクと呼ぶしかない。
ちょっと前までは「マウンテンバイク」や「ロードバイク」といった「○○バイク」という言い方でオートバイとの混乱を回避してたように思えるのだが、最近はオートバイ人気の低迷のせいか自転車業界が勢力を増して「バイク」という名称を奪還しようとしているように見えてしまう。それは言い過ぎか。
 しかしよく考えてみると、トライアスロンではスイム、バイク、ランという言い方をするし、スポーツジムで漕ぐトレーニング用の自転車もエアロバイクと呼ぶのである。ということは、徐々に「自転車=バイク」という図式が成り立ちうるのもうなずける。
 また、語源から言えば英語で「バイク(bike)」は第一に自転車を指すのだからオートバイのことをバイクと呼ぶほうが不自然であるとも言えよう。ここで厄介なのが「日本では」バイクといえばオートバイを指すことが多いという事情があったため、そういう使われ方をしてきた背景である。
 ここまで来るとどちらが正しいかという問題ではなく、どういう使われ方が大多数かということになる。もしかしたら、今は「バイク」という言葉の使用方法において過渡期なのかもしれない。