椎名林檎と戸川純
個性的なミュージシャンというのはとにかく他のミュージシャンと比較されやすい。椎名林檎もそのひとりで、某有名掲示板では椎名林檎ファンとアンチが他のミュージシャンとの比較を通してどっちがスゴイというようなののしりあいが続いている。
僕個人としては椎名林檎をみていてどうしても頭に浮かんでくるのが戸川純である。
椎名林檎が歌う痛々しいまでの「女の情念」とか「狂気」といったテーマはたくさんの女性ボーカリストが歌ってきたと思うが、戸川純もその「狂気」レベルは半端ではない。
戸川純を聴いた後に椎名林檎を聴くとなにか違和感が残る。それは椎名林檎がみせる狂気には、どこか作為的な部分、理性が介入して計算されたような部分が感じとれるからである。
彼女の見た目による作用も一因だろう。椎名林檎のようなパッと見てきれいな顔立ちや、いかにも上品そうな立ち振る舞いは、まるっきりイっちゃってる情念系の歌を歌うには邪魔な要素である。逆に言えばそのことによって椎名林檎は売れたのではないだろうか。剥き出しの感情表現は見ていて引いてしまうものであるが、周りが引くか引かないかのギリギリの狂気加減が椎名林檎の場合は絶妙なのである。
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