健気、というより愚か

全然酒の飲めないヤツが女を飲みに誘っていた。一体どうする気なんだろう。飲み屋でずっとウーロン茶でも飲みながら口説くのだろうか。
それも、よりによって相手の女は酒が強いのだ。酒の飲めない男は往々にして酒飲みの気持ちがわからないから不快な気分にさせるにちがいない。
先日も、俺・ほとんど飲めない男・まあまあ飲める女、の三人で飲みに行ったのだが(二次会)、やはり不快だった。そのほとんど飲めない男はよく喋った。とにかくよく喋った。しかし、そいつが喋れば喋るほど俺の視線はそいつのグラスにそそがれるのだった。こっちが四杯も五杯も飲んでるときに最初に頼んだ一杯目がいっこうに減らない。で、ずっと喋っている。ジャズ喫茶で一杯のコーヒーでねばってる貧乏学生じゃないんだから早く飲めよ!
そいつが酔っ払ってかなり出来上がってるなら許す。いくら酒が弱くたって酔っ払ってるならまあ許す。ところがそいつはたちの悪い下戸なのだ。体質だかなんだか知らんが、酔う前に気持ちが悪くなるってやつ。
そういう人種とは俺は一生分かり合えないと思う。だって飲み会で何も共有できないんだからさ。一緒に寿司食いに行って「私は生の魚とか苦手なんです」とか言って玉子ばっかり食ってるやつと同じだよ。何のために来たんだよって言いたくなることこの上なし。

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